現在私たちの生活にAIが介入している場面が徐々に増えていき、今後も劇的にAIが活用されいる場面が増えていくでしょう。
すでに海外では、AIが弁護士や警察官の代わりになり、今まで時間がかかっていた手続きなどを劇的に短略化したケースもあります。
AIが人間の雇用や仕事に与えるインパクト
医療業界ではすでに、機会学習による画像分類技術を活用して、医療用画像から、ガンなどの診断の手助けになっています。
現在世界中で、AI技術を医療現場で活用していくために、研究・開発が進められており、いくつか一般公開されているものもあります。
今回は、AIが医療業界でどのように活用されるか、いくつか例を見ていきたいと思います。
医療における機械学習とは?
そもそも、機械学習とは、大量のデータを使用して、機械にデータのパターンや相関を学習させ、検出できるようにすることです。医療では、大量のレントゲン画像や、CT画像、血液データといった医療診断に使われる情報から、パターンや相関性を機械が学習し、機械が腫瘍などの異常を発見し、それが良性か悪性かも予測することで、医者の診断の手助けとなっています。あくまで機械による「予測」であるため、実際の診断や、治療方針の決定・実施は医師が行います。
AIの医療への介入によって、期待される影響
死亡率の減少
人工知能が発達すると、人間の感情を学び、思考や理由を理解できるようになると言われています。医療分野では、AIが医師の仕事をサポートすることで、専門医の治療が必要な、より多くの患者を救えるかもしれません。
速く正確な診断
医療用画像処理の進歩によって、レントゲンやCTなどの医療用画像から、機械が異常を発見できるようになります。
人工ニューラルネットワークに関するいくつかの研究では、スペクトル情報と診断基準を分析することにより、悪性メラノーマ、眼の問題、および多くの形態の癌を含む様々な疾患を、正確に診断できることが示されました。
今まで医師でも、いくつもの症例からの経験が必要だった医療用画像分析を、自動化することによって、コストを下げつつ、価値の高い治療を患者に提供することが可能になります。
機械の正確さがさらに向上し、診療での活用が広まれば、診断プロセスの大幅な短縮が期待できます。
例として、アメリカのスタンフォード大学のある研究者は、深層畳み込みニューラルネットワークを使用して、2,000以上の症例、130,000枚の画像を用い、皮膚ガンを検出するアルゴリズムを開発しました。結果、21人のボード認定皮膚科医と同じ能力を有することを示しました。
また、コンピュータが自ら学習・推論・考察しながら、膨大な情報源から大量のデータを瞬時に分析し、質問に回答したり、人間の意思決定を支援したりするIBM Watson。
少し前には、東京大学医科学研究所が、Watsonが60代の女性患者の正確な白血病の病名をわずか10分で見抜き、病名から割り出した適切な治療法によって患者の命を救ったと発表し、世間を驚かせました。
Avintonのエンジニアも現在、機械学習でレントゲン画像を分析するR&Dプロジェクトに携わってり、大量の医療画像を用いて業務にあたっています。
医療分野でのAI / 機械学習の活用に関わるプロジェクトに興味がある方にも、案件の紹介が可能です。
動物セラピーならぬロボットセラピー
動物とのふれあいが、人々の精神や体にいい影響をもたらすことは知られていますが、ロボットとのコミュニケーションでも脳機能にいい影響を与え、生活の質を改善できると言われています。
疲労からくるヒューマンエラーの減少
医師は日々多くの患者の診察・治療にあたります。医療者の労働は疲労が伴うことが多く、疲労からくる判断ミスや、ヒューマンエラーも実際に起こっています。AIは、人間のように疲労を感じることがなく、人間だからこそ起こす誤りを排除し、時間がかかり且つ単調な作業を軽減することで、医師を支援することが期待されます。
労働力(運動補助)
病院は、労働力を増強するためにロボットを使用し、薬局操作や薬剤の調剤などの繰り返し作業をロボットに任せることができます。
HAL 5(ハイブリッドアシスタントリム)スーツは、身体に装着することによって人間の身体機能を拡張、増幅、強化するロボットスーツであり、これを使用すれば、誰かが持ち運べる重量を2倍にすることができ、医療・介護従事者にとって負担が少なく、且つ効率的に作業ができる貴重なツールになります。
最小限の侵襲での手術で体への負担を最小限に
Da Vinci Si HD Surgical Systemによって、すでに外科医療にで大きな進歩を遂げられました。 このシステムは、医師に優れた視覚化、精度、快適性を提供します。 そのような外科用ロボットは、小さな切開部のみの侵襲で、患者の苦痛を軽減し、投薬の必要性を最小限にし、入院を短くします。 結果として医療費の削減につながります。
放射線治療の向上
Robber Radiosurgery CyberKnifeのようなシステムは、体内のどこの悪性腫瘍や良性腫瘍をも治療するための非侵襲的な代替手段です。 このシステムでは、画像ガイド技術とコンピュータ制御のモビリティを使用して、治療中の腫瘍や患者の動きを検出して治療します。 腫瘍に正確な放射線を送り、周囲の健康な組織の損傷を軽減します。
Googleが買収した人工知能のスタートアップ企業、DeepMindは、イギリスのロンドン大学病院と提携してガン治療に同社の人工知能による機械学習を取り入れることを発表しました。
人工知能を使用し、過去の700件の症例を分析し、機械学習が放射線治療計画の作成を効果的に行えるようにサポートすれば、従来、長時間かかっていた治療計画作成が大幅に短縮されるとのこと。機械学習ががん組織と健康的な組織を自動で区別し、治療計画作成の時間を短縮することで、放射線医は、それに当てていた時間を患者のケアや研究に当てることができます。
身近な医療用アプリケーション
チャットボット
イギリスに本拠を構えるスタートアップ企業、バビロン・ヘルスは、病気の予防と診断のためのチャットボットを開発しました。
音声認識を使用して、チャットボットはアプリ利用者から受け取った症状を病気のデータベースと比較。患者の既往歴や状況の組み合わせに基づき、適切な措置を提案してくれます。
例えば、風邪の症状を説明すれば、薬局へ行くことを勧めてくれたり、重篤な症状の場合は、緊急ホットラインに電話するか、病院に直接向かうことを進めてくれます。
Streams
上記で紹介した、イギリスのDeepMindが開発したモバイルアプリケーションです。
医師や看護師と密接に協力して構築されています。
イギリスでは毎年、何千人もの人々が、発見が遅れ適切なタイミングで治療ができなかったために、急性腎不全や敗血症で死亡しています。患者の血液検査結果などの医療情報を1箇所にまとめ、医師が移動中でも、いつでも患者の状態を確認できれば、症状の早期発見、早期治療で患者が救えます。
重大な症状が見つかった場合、瞬時に適切な医療者にアラートを送信して、迅速な診断・治療が行えるようになります。そうなることで、症状の発見や治療開始の遅れから、患者を救うことができなかった、という状況を発生させないことを目的としています。
デジタルコンタクトレンズ
これは、モバイルアプリケーションではありませんが、Varilyによって研究開発されている糖尿病患者向けのコンタクトレンズです。
2層になっているレンズの間に埋め込まれた、センサーが、涙から血糖値を測定することができます。また、人間の髪の毛よりも細い無線アンテナが内蔵されており、ワイヤレスデバイスに情報を送信するためのコントローラーとして機能します。
コンタクトレンズは1秒ごとに血糖値を分析し、関連アプリにデータが送信され、スマートフォンで詳細な測定結果を見ることができます。
血糖値が一定の値を超えた場合、アプリが通知してくれたり、重篤な状態の場合には、医師に連絡してくれる機能も備わっています。
これを使用すれば、血糖測定のために、1日に何度も針で指を指す必要もなくなり、血糖値の管理が楽になります。
現在開発・テスト中の段階であり、完全な実用化には至っていませんが、実用化されれば、糖尿病患者の生活がぐんと楽になるかもしれません。
まとめ
機械が、医師や看護師の代役をできるわけではありません。しかし、AI・機械学習技術がさらに進歩・正確性が向上し、一度に何百万ものデータを処理するような、人間にはできないことを機械が行うことで、診断プロセスの短縮化やコスト削減が可能になり、患者・医療者双方にとって価値の高い医療の提供が可能になります。
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