突然ですが、スマート農業(Smart Agriculture)という言葉を聞いたことはありますか? この記事では、日本の農業、林業、漁業、食品産業における課題解決のためにどのようにデジタル技術を活用していけるのか、IoT、ビッグデータ、AIはどのような役割を果たすのかを紐解いていきたいと思います。
概要
- スマート農業(Smart Agriculture)とは、IoT(Internet of Things)、センサー、位置情報システム、ロボット、AI(Artificial Intelligence)などの技術を農場で活用することです。
- スマート農業は、作物不作によるリスクを補い、全体的な歩留まりを改善することで、食料採算性と収益の向上を実現することを目的としています。
オーダーメードのIoTデバイスとAIソリューションを使用することで、効率と生産量の最大化を図ることができ、新規・既存両方の情報を使用して機械学習モデルをトレーニングすることで、収穫予測が可能となります。
スマート農業とは?
農業従事者には、風、霜、暑さなどの自然の変化への対処が常に求められます。環境の影響は大きなリスクとなり得ますし、収穫の損失は特に小規模な農場では大きな影響を及ぼします。損失の補填や収穫の最適化のために、これまでは熟練者の勘や経験といった側面に頼ることも多くありました。
日本の農林水産業や食品産業は、高度な技術を持つ従事者に大きく依存していますが、日本ではその農業従事者の高齢化が進み、逆に若年層の農業への関心は低下しています。農地は不足、食料自給率は近年過去最低を記録、といった状況の中で、天候などの環境要因はさらにこの状況に追い打ちをかけていきます。
これらの対策として、農業において、IoT、ビッグデータ、AIが活用されるようになりました。こうしたテクノロジーに期待されることは、食料需要の増加や気候変動の圧力に柔軟に対応することです。デジタルトランスフォーメーションの一環として農業に現代のテクノロジーを活用することは、労働力を削減することに大きく寄与するでしょう。
スマート農業への取り組みの目的は、不作リスクを最小限に抑え、収穫の質を高めることで、採算性と収益を改善することです。
AIを活用した収穫予測と畑の最適化
農業分野におけるデジタルトランスフォーメーションのアプローチとして、IoT(Internet of Things)の導入が挙げられます。IoTデバイスは、インターネットに接続されたセンサー付きのツールです。これを人工知能と組み合わせ、データを監視、分析、予測することで収穫や生産性を向上させ、不作を減らすことができます。
私たちは、こういった取り組みにあたり、既製品のソリューションではなく特定の要件に特化したオーダーメードのIoTデバイスやAIソリューションを推奨しています。画像センサー、赤外線センサー、サーモグラフィ、水分・湿度センサー、音センサーなどをカスタマイズして導入することで、スマートアグリソリューションを実現します。
これらのIoTデバイスはトラクターやトラックに搭載するだけでなく、リアルタイムに畑や土壌、植物のデータを収集することが可能なので、農家の方々が光、温度、水分量などを把握するのに役立ちます。また、アルゴリズムを活用して地形や土壌を分析したり、衛星やレーダーの画像技術を活用したりすることも可能です。収集したデータで、過去の天候・作物のデータ・航空写真など、他の利用可能な情報と組み合わせると、収集したデータをもとに機械学習モデルでパターンを識別するようにトレーニングされ、AIによる収穫予測が実現します。
AIと自動化による農業の変革
農地の大小に関わらず、AIの活用によって、これまで手作業で行っていた収穫や作物の選別、水を節約するための精密な灌漑などのプロセスを自動化することが可能になります。さらに、エッジAIカメラなどのIoTデバイスを農場に配備したりドローンで空撮画像を生成することで、AIによる画像解析と機械学習アルゴリズムを用いて、果実の計測、果実のサイズの監視と予測、害虫や植物の病気の検出、収穫予測も行えます。
このようなビッグデータの収集・蓄積から処理・分析までのワークフローを円滑に自動化するために、データ管理ツールやAIプラットフォーム(当社のBtoBソリューション「Avinton Data Platform」など)の導入をおすすめします。データを実際のビジネスの価値に変える技術こそがデータ駆動型の組織の特徴であり、スマート農業を実現させる鍵となります。
こちらをクリックし、ぜひ私たちのAI物体検出のデモをお試しください。リンゴの木の画像をアップロードすると、AI画像解析技術により果実を検出して計数します。
スマート農業と精密農業でのAI活用事例
- 収穫予測と最適化
- 精密な灌漑と廃棄物の削減
- スマートセンシングとマッピング
- 作物の状態のモニタリングと収穫物の計測
- 気候のモニタリングと予測
- 家畜の追跡とジオフェンシング
- サプライチェーンの最適化(スマートロジスティクスと倉庫管理)
上記のように、デジタルトランスフォーメーションが農業市場で既に始まっていることを示す様々な使用例があります。「スマート農業 」や 「精密農業 」が現実のものとなっているのです。
私たちは日本の一企業として、環境に配慮した持続可能な農業を実現しつつ、日本の食料自給率の向上に貢献したいと考えています。当社はデジタルトランスフォーメーションプロジェクトの支援や、総合的なAIコンサルティングを提供しています。ぜひ農業従事者の方々に、より時間と資源効率的に活用し、不作を回避するだけでなく、収穫量、作物の品質、全体の収益を向上させるために私たちのカスタムメイドのビッグデータとAIソリューションを活用していただけたらと思います。
ご質問等がございましたら、下記よりお気軽にお問い合わせください。