日本貿易振興機構(JETRO)が、海外ビジネスに関心の高い日本企業に向けて2015年11月~2016年1月にかけて行ったアンケート調査(約3,000社が回答)によると、2015年度に外国人社員を雇用している企業は44.4%にのぼります。
参考: 2015年度日本企業の海外事業展開 に関するアンケート調査|日本貿易振興機構(JETRO)
一方で、外国人社員の採用・雇用における課題として「組織ビジョンの共有が難しい」(20.1%)、「日本人社員とのコミュニケーションに支障が多い」(19.0%)などが挙がっています。
Avintonでは、2010年の創業時から外国人が最高技術責任者を務め、多国籍メンバーで構成されるチームで多数のプロジェクトを推進してきました。
その知見から、外国人と上手に働くためのコツを一部ご紹介します。
1. 相手の国の文化や傾向について理解を深めよう
外国人といっても、パートナーや親しい友人が日本人、日本語がビジネスレベル、滞在期間が長いなどの場合は、日本についての理解も深く、一緒に働くときに特に何も気にならないケースがほとんどです。
とはいえ、相手が歩み寄ってくれるのに甘えず、相手の文化や考え方について学ぶのはビジネスマナーのうちのひとつです。
「年齢・宗教・政治については話題にしない」などの基本事項から一歩進んで、ビジネスシーンでの異文化理解に特化したのが以下の書籍です。コミュニケーション・評価・説得・リード・決断・信頼・見解の相違・スケジューリングの8つのビジネス領域についての国ごとの傾向を、独自のカルチャーマップとともにまとめています。日米どちらのAmazonでも高い評価を得ているベストセラーです。
異文化理解力――相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養
The Culture Map: Breaking Through the Invisible Boundaries of Global Business
まず日本について客観的に見てみると、ステレオタイプとして納得できる部分とそうでない部分があり、個人に依存するということも実感でき、この本との正しい付き合い方を見極める助けになります。
先入観を持たず、あくまできっかけとして、個人についての理解を深めるための材料にしましょう。
2. 早い段階で役割や仕事の進め方をすり合わせよう
1〜2週間、あるいはちょうど良い区切りで、相手の仕事の進め方や重視する要素を見極め、早い段階でお互いの役割・権限範囲や仕事の進め方について話し、共通認識を持ちます。
仕事相手について不満を感じ、互いに信頼感を損なうタイミングのひとつは、自分が期待した内容ややり方で業務が進まないか、期待と合わないやり方を強制されると感じるときであり、それは相手も同様です。
プロジェクトにおいては、最初にプロジェクト憲章(Project Charter)を定めますが、それと似た意図で、互いが納得できる最低限のルールをすり合わせましょう。
たとえばIT系やエンジニア・デザイナーなど、職種と業務内容が同じなら、使用する用語・ツール・手順は万国共通ですので、協議は比較的容易です。
3. 成果主義とプロセス重視文化の違いを理解しよう
ポイント2で仕事の進め方について共通認識を持つ上で忘れてはならないのが、日本は世界でも有数のプロセス重視カルチャーを持つ国だということです。
欧米や欧州では投資対効果(ROI:Return On Investment)または結果を評価し、そこに至る過程はあまり重視されない傾向にあり、プロセス構築に関してはあまり時間や予算を使いません。
日本人上司には仕事の進め方を相談すると安心されるのに対して、外国人上司には仕事のアウトプットイメージを共有すると安心される(プロセスを相談すると困惑される)のも、仕事の進め方において、大切にしていることの違いから生まれるのかもしれません。
4. 会話をしよう
チームなど複数人で、少なくともたまにランチの時間を共有できるような関係性が理想的で、そのような関係が構築できたチームの業務上のコミュニケーションはとても円滑です。
Avintonではクライアントともランチをご一緒させていただく機会が多く、チームの結束を高めるとともに、そこで重要なアドバイスをいただけることもしばしばです。
常に多くのメンバーがチーム単位でクライアント先に常駐しているAvintonでは、集合して会社のビジョンを共有する帰社日の他にも、ボーリング大会などのイベントを任意参加で開催し、異なるチームのメンバー同士が気軽に交流できる場を積極的に設けています。
5. 価値観や人生の目標を共有しよう
ある程度打ち解けてからのステップではありますが、互いの価値観や何のために働いているのかを知ることは重要です。
週5日x1日平均8時間、平日は家族よりも長い時間を共有するにもかかわらず、お互いが大事にしている根本的な価値観や人生観を理解していなければ、うまくいかないのは当然です。
しかし、そのようなトピックスは簡単に共有できるものではなく、ましてや業務中には話せないため、まずは前述のランチやイベントで少しずつ理解を深めるのがおすすめです。インタビューする側かされる側かに関わらず、面接の場で聞いてみるのもおすすめです。初対面で本音を聞き出せることはまれですが、親しくなってから改めて聞く回答と比べてみるのは面白いものです。
まとめ
5つのポイントを順にご紹介しましたが、日本人同士の場合とほとんど違いはありません。異なる環境で経験を積んできた相手であれば、それだけ意識的に違いを認めつつ歩み寄る必要があるというのが要点であり、それは日本人が相手でも全く同じです。
似たような職種や経験を積んできた相手なら、たとえ英語の壁はあっても、日本人より価値観が合い、仕事を進めやすいと感じることさえあります。
異なる背景やスキルを持った同僚は、新しい気づきを与えてくれます。
外国人と働き、多国籍チームの一員としてイノベーションを起こしたい方は、奮ってご応募ください!