2025年5月、Avintonジャパンは、学校法人吉田学園 専門学校北海道サイバークリエイターズ大学校にて、『AI × 農業』をテーマにしたオンライン授業を実施しました。
今回の授業では、当社のスマート農業プロジェクトを題材に、「テクノロジーをどう活かすか」ではなく、「誰のどんな困りごとを、どう解決するか」を深く考える機会を創出。学生自身がぶどう農家に直接インタビューを行い、現場のリアルな課題に耳を傾け、AIやITによる解決策を考案するという、実践的かつ共創的な学びの場となりました。
学校法人吉田学園 専門学校北海道サイバークリエイターズ大学校
https://yoshida-hcc.jp/
今回は弊社からエンジニア1名が講師として登壇し、専門学校に通う3年生を対象に2週にわたってオンラインで授業を実施しました。
授業の概要
対象学科:DXエンジニア学科(3年生)
実施形式:オンライン(2週連続授業)
登壇者:弊社エンジニア1名(農家出身)
プログラム構成:
- レクチャー:顧客理解とスマート農業事例の紹介
- グループワーク:ぶどう農家へのインタビューと課題分析
- プレゼンテーション:ITを活用した解決策の提案
レクチャー|「AIの前に、現場にいる人を理解すること」
今回の授業のメインであるグループワーク内で、実際に学生にユーザーインタビューを体験してもらう授業設計にしていたため、まずは顧客理解の重要性について解説を行いました。
「AIを使う」「ITを活用する」ことは「顧客の困りごとを解決する」ための強力な手段ではあります。しかし、AIを活用すること自体を目的としてしまっては本質的な課題の解決はできません。
この授業はDXエンジニア学科に在籍している学生が対象だったこともあり、ユーザー理解の重要性を強調して伝えました。
さらに、当社のスマート農業の事例も紹介いたしました。
スマート農業とは、AIとIoTを活用することで農作業の効率化や品質向上を目指す取り組みです。具体的には、環境データを活用した生育管理や、機械学習を用いた収穫タイミングの最適化などを行います。
私たちは2022年より神奈川県真鶴町をIT分野で支援を続けており、農業プロジェクトにも取り組んでいます。今回の授業では弊社が構築した土壌や大気の状態をモニタリングするシステムを紹介いたしました。
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グループワーク|現場の声に耳を澄ませ、課題解決を構想する
レクチャー後に、実際にブドウ農家が直面する課題に対して、ITやAIを活用した解決策を考えるワークを実施しました。
この授業はユーザー理解に焦点を当てていたため、授業企画段階から山梨県のぶどう農家出身の弊社エンジニアにインタビューする機会を学生に対して提供する予定でした。
ただ、より良い授業にするために、「北海道のぶどう農家に直接インタビューしてみてはどうか」と先生に提案したところ、先生もその案に前向きに賛同してくださいました。そこで、受講生自身が北海道のぶどう農家に連絡を取り、インタビューを依頼することになりました。
その結果、当社社員に加えて北海道のぶどう農家1名にもインタビューを実施することができました。
2件のインタビューを通じて学生たちは、表層的なニーズではなく、日常に潜む不便や感情に根ざした課題に触れました。
最終発表では、各グループが創意工夫を凝らし、AIやITを駆使したユニークな提案をプレゼン。
学生たちの成長と探究の軌跡が、画面越しにもしっかりと伝わってきました。
農家出身エンジニアの声
私は農家出身でエンジニアになった2年目社員です。今回授業をサポートするために、農家の立場で講師として参加し、学生の皆さんは事前準備を徹底したうえで次々に質問を投げ、私の回答にもさらに深掘りの質問を重ねる姿勢を示しており、その熱意と探究心に心底驚かされました。
農業はブルーワーカーに分類され、なり手が中々現れない、興味を持たれないことも多い中で、現状の農業の話に耳を傾けてくれたこと自体が非常にありがたく感じました。
また、自分自身で学生からの質問に対応しつつ、農業イベントとして農業の魅力や課題を直接伝える役目を担えたことは、視点を広げる大変貴重な経験となりました。
受講した学生の声




先生の声
学校法人吉田学園 専門学校北海道サイバークリエイターズ大学校
佐々木先生
この度は、Avintonジャパン様による貴重な授業の機会を賜り、誠にありがとうございました。
今回の機会は、学生たちがこれまで学んできた技術が、実社会においてどのように価値を創造し得るのかを具体的にイメージし、深く考える上で大変有益なものとなりました。
とりわけ、貴社のご協力により、ブドウ農家の視点をお持ちのAvintonジャパン社員の方、ならびに北海道でブドウ園を実際に運営されている方々から、現場の課題やICT活用の可能性について直接お話を伺えたことは、学生にとってかけがえのない経験となりました。
また、学生たちが主体的に取材先を探し、ヒアリング内容を事前にしっかりと準備するなど、責任感を持って取り組む姿勢が見られたことは、大変喜ばしく感じております。この一連のプロセスは、普段の学習では得難い「ユーザーに想いを馳せる」という貴重な学びの機会になったと確信しています。
今回の経験は、学生たちの今後の学習意欲の向上、ならびに将来のキャリア形成において大きな刺激となったことと存じます。
このような実践的な学びの場をご提供いただきましたAvintonジャパン様に、重ねて御礼申し上げます。
最後に
今回の授業は、北海道のぶどう農家の方など、多くの方にご協力いただいたことで実現いたしました。
「学生にとって有意義な時間となるように、よりよい授業を提供したい」という想いをAvintonと学校で共有していたことで、これまでにない授業を創りあげることができたと感じております。
実際、受講した学生のリアクションから、農家の生の声を聴く機会は彼らにとって貴重な経験になったと私たちは確信しています。
「テクノロジーは誰かの困りごとを解決するためにある」ことを忘れず、Avintonジャパンは今後も産学連携を通じて、実践的な学びの機会を提供し、日本のテクノロジー教育を支援していきます。
Avintonジャパンは日本国内で20校以上と連携(https://avinton.com/blog/tag/産学連携)し、多くの未来を担う人材を育成しています。
また、「Avinton Academy on Campus」を通じて、日本全国の教育機関との連携を深め、テクノロジー教育の新たな地平を切り拓いていきます。