皆さんこんにちは。Avintonジャパンの機械学習/AIエンジニアを担当していますR.Kです。
今回は実際に機械学習/AIプロジェクトにアサインされている立場から
1.AIの歴史 - なぜ今AIブームなのか?
2.Avintonエンジニアの考える次世代のAI活用について
3.機械学習/AIエンジニアに必要なスキルと学習方法
上記ののテーマでユースケースを踏まえた上でお話ししていきたいと思います。
尚、今回はこれから機械学習/AIを学ぶ方または活用を目指しているビジネスパーソンの方を対象としていますので、どうぞ最後までお付き合い頂ければ幸いです。
本題の前に、私の簡単な自己紹介です。
2017年2月にフランスから帰国し、未経験でIT業界へ。2018年1月からAvintonに入社し機械学習/AIプロジェクトを担当しています。
プロジェクトでは主に画像分析AIの開発プロジェクトにアサインされ、現在は要件定義からリリース管理までのエンジニアリングと市場調査や顧客ニーズのヒアリングなど幅広い業務を担当しています。
さて、本ブログの本題です。
1. AIの誕生
少し歴史のお話をしたいと思います。
昨今、お話に上がっているAIというのは実は50年以上も前からある概念だとご存知でしょうか?
人工知能学会によると1923年にチェコの作家・劇作家である”K.Kapekが“R.U.R. (Rossum’s Universal Robots)がロンドンで上演.初めてロボットという言葉が用いられ”とあります。
勿論この時代にロボットなんてものは存在しませんし、これは空想の中のお話に過ぎませんでした。しかし、実際に彼の作品を読むとタイムスリップして書いたのではないかというくらい、「ロボット」について描かれていました。ロボットは人間に代わる労働力だと表現されていました。
AIの概念はそこから下って1947年に旧ナチスの暗号「エニグマ」を解読したイギリスの数学者A.M.Turingによって提唱されました。
長年の研究と開発が繰り返されて、ニューラルネットワークが現れたのが、昨今のAIブームを起こすきっかけとなりました。
「ニューラルネットワーク」とは、簡単にいうと人間(や他の進化した生物)が持っている神経細胞(ニューロン)が複雑に絡み合って、電気信号がその複雑な網の中を伝播していくことによって、情報を認知し、判断し、行動する仕組みをコンピューターの中で模倣してみよう、というものでした。
さらにコンピュータのパワーが改善され、ビッグデータを短時間で処理できるコンピュータが誰でも取得できる世の中になりました。言い換えると、何階層にもなるニューラルネットワーク(大量の情報)も容易にコンピュータが処理できるようになったのです。
計算パワーを圧倒的に増した現在のコンピュータ(群)は、複雑なニューラルネットワークの計算も、学習も簡単に処理できるようになったのです。複雑なニューラルネットワークで学習させることをディープラーニング(深層学習)、と呼んでいますが、それらが手早くできるような環境が整ってきた、ということです。
2.AIは価値を創出するためのアプリケーション
AIという言葉が生まれて以来、機械学習は常にAIの一つとして扱われていました。自分も最初に機械学習について調べたときはそのように学びました。しかし、DataRobot CEOのJelemy Achin氏によればAIと機械学習は「補完し合う存在」であり、それぞれが独立したものであると言います。(図1)
Achin氏の主張を続けましょう。氏がこのように考えるのはAIが「人間のできることをアプリケーションにしたもの」という考えているためです。
ここではAIが実際にできることを経験則に落とし込んで単純化しましょう。
自分が現在関わっているプロジェクトでは主に「画像や動画」を扱っています。基本的にプロジェクトは「0→1」、つまりどの企業も提供していない「0」状態のサービスを展開できる状態である「1」へとするためのAIを開発しています。
それではまず、AIで行いたいことを具体化します。例えば、「食べ物」の画像であれば「食べ物の画像を見て」、「食べ物と判断する」ことをアプリケーション化したいと考えるのです。
次に効果を考えます。「食べ物の画像を見て食べ物と判る」というだけではなんだか物足りません。そこで、「複数の」食べ物を見て、「品名」を判断するとしたらどうでしょう。何かに応用できる可能性が高くなってきましたね。
このように AIというのはまず人間の持つ機能をアプリケーションとして具体化する必要があります。
言い換えると、現時点の機械学習、AIというのは、人が認識できないものを認識することができない、ということです。
3.機械学習・ディープラーニングの役割
それでは機械学習・ディープラーニングというものは一体何を目的としているのでしょうか?これには「弱いAI」と「強いAI」のお話をするのが適当かと思います。
「弱いAI」とは言い方を変えれば「ルールを守るAI」と言えます。このAIはある1つのルールにそって行動します。
例えば、「白線歩き」という遊びがあります。私も子供のころに行っていた道路の白線に沿って歩くだけの単純な遊びです。AIに置き換えると、これは「白線に沿って歩け」というルール(プログラム)に従うロボットがあると考えてください。このロボットは白線の上は歩くことができますが、それ以外の行動はできません。自分で考えることができない為です。
このように人間の一部分のような単純な機能を持って行動するAIを「弱いAI」と呼びます。
「強いAI」は言い換えると「予測判断できるAI」と言えるでしょう。数式やパズルなどを様々なパターンで解くことができます。
この段階になってやっと機械学習やディープラーニングが必要となります。
先ほどの食べ物AIの例で言えば、「食べ物と判る」だけではそれはその画像が「食べ物だ」というルールに沿ったに過ぎません。しかし、「複数の食べ物と品名を判断する」にはルールだけでは困難です。その際に、コンピュータにパターンを学習させて判断させることができればそれは「強いAI」となるのです。
このように人間の機能の部分ではなく推測判断といった思考の部分を機能として実装したものが「強いAI」と言えます。
4.次世代AI活用とは
ここまででAI/機械学習の概要は掴めましたでしょうか?これらを踏まえた上で次世代のAI活用について考察していきたいと思います。
今後求められるAIはまず確実に「強いAI」だと考えます。例えばGoogle社やAmazon社が自動音声識別スピーカーに例えば様々な機能を搭載しています。それらは人の音声だけでなく言語、発音にも対応してきています。
画像分野ではリアルタイムでの物体検出などが盛んに開発されており、日本でも多数の企業がサービスやIoT製品を創出しています。
しかし最近では、Amazon社製Alexirが夫婦の会話を録音して知人に送ってしまうというセキュリティ事故も起きました。完全自動運転自動車の開発を行っていたTesla社も死亡事故を起こしています。このように、人の機能に成り代わるAIが開発される一方で、それに付随する問題も増えていきます。
最近のトレンドとして、「データドリブン」という考え方があります。これはデータ、とりわけ「ビッグデータ」を対象とし、分析、予測を行うという考え方です。しかし、データが膨大にあるということは、それだけエラーを起こす可能性も増えるということと同義です。
また、これも昨今取り上げられている話題として「AIの民主化」というムーブメントが起きています。AI/機械学習という概念が生まれてから今まで、これを開発し価値を創出できるのはコンピュータ工学の専門家や、エンジニアだけのものでした。それは開発環境や言語、数式が難解で素人が理解できる領域ではなかったためです。
その一方で現在はGoogle社の「Google Machine Learning」やAmazon社の「AWS」のようなクラウド型サービスにより、データさえあればデータ分析や機械学習を行えるが無料もしくは安価に整っています。ノンプログラミングでも十分ビジネスとして通用するサービスを生み出すことができるのです。
5.機械学習エンジニアになるには
Avinton公式サイトのアカデミーページには、機械学習エンジニアに必要なスキルをまとめた記事を掲載しています。
ご興味のある方はぜひご覧ください。
*Avintonアカデミーとは、未経験でもエンジニアを目指したい。新しい言語や技術を学びたい。インフラエンジニアから開発に転向したい。などという方々のために、弊社のリードエンジニアが企画構成したIT技術学習コンテンツです。フルスタックエンジニアに必要な学習コンテンツを、すべて無償で公開していますので、ぜひチャレンジしてみてください。
まとめ
最後にAvintonのAI/機械学習におけるスタンスをお話しして終えたいと思います。
Avintonが考える次世代に求められるAI活用とは人とAIが補完しあえることです。AIは完全に人になり代わることはまだ実現されないと思います。その中で我々の生活をより豊かにしてくれるのがAIの活用です。
Avintonのこれまでの取り組み事例やブログ記事の「AvintonのAI/機械学習システム開発事例」や「【機械学習入門】機械学習/AIと医療」などのように、医療とAIが協力することによって治癒できる傷病、救われる命がより増えてくるでしょう。
今やデータサイエンティストやAI/機械学習は世界中でもトップクラスに稼げる職業となるように、非常に将来性のある分野です。それだけでなくAvintonは、AIやデータが価値の創出にあるという事を基本にこれからも開発・協力を行っていきたいと考えています。
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