この記事で分かること
- 自動運転AIに興味を持った経緯
- 現場での成果につながる技術キャッチアップ方法
- 生成AIとの協働による開発・学習スタイル
自己紹介
私は、AIエンジニアとして自動運転AIの研究・開発に携わっています。
高校生の頃、趣味の将棋をきっかけに将棋AIを知りました。そして、プロ棋士に勝つAIの仕組みに興味を持ったことが、AIに関心を持つきっかけでした。また、ボランティア活動を通じて、地方の人手不足や介護、貧困などの社会課題を目の当たりにし、「このような問題をAIで解決できないか」と考えるようになりました。
これが、私がAIエンジニアを目指したきっかけです。
Avintonジャパンに新卒で入社後、社内開発でエッジAIカメラの開発を担当し、AIモデルを実際のデバイス上で動かす経験を積みました。当時Teslaの技術ブログを見て、AIが周囲の環境を認識し、その判断によって実際の車が動いていくことに強く興味を持ちました。これまで自分が扱ってきたAI技術が、現実世界の中で車の動きにつながっていくことに大きな魅力を感じ、自分も自動運転AIの開発に携わりたいと考えるようになりました。その後、自動運転AIのプロジェクトに参加する機会を得て、現在まで研究・開発に取り組んでいます。
現在のプロジェクト
現在は、自動運転AIの研究・開発の中で、実車両への搭載を見据えたAIモデルの開発に取り組んでいます。
新しい技術を取り入れながら、実際に動かすための推論高速化やモデル軽量化、性能改善などにも取り組んでいます。技術の変化が速く、新しい技術を継続的に学ぶことが欠かせない環境だからこそ、日々のキャッチアップを大切にしています。
エンジニアを目指して勉強している方や、経験が浅く「新しい技術をどう学べばいいか分からない」と感じている方にも参考になるよう、私が普段実践しているキャッチアップ方法をご紹介します。
私が実践しているキャッチアップ方法
私が技術をキャッチアップするときに意識しているのは、「すべてを理解してから動く」のではなく、まず小さく試して、そこから理解を深めていくことです。
特に意識しているのは、次の4つです。
1. まず「何のための技術か」を確認する
新しい技術を見つけたとき、いきなり細かい仕様から読み始めるのではなく、まず「どんな課題を解決するためのものなのか」を確認します。
例えば、新しいフレームワークを見つけたら、機能を一つずつ覚えるのではなく、「既存の方法と比べて何が便利なのか」「どのような場面で使うのか」「逆に向いていないケースは何か」を先に確認します。
目的を理解しておくことで、その後に調べるべき情報が自然に絞られ、必要以上に深追いすることを防げます。
2. 一次情報を軸に、複数の情報源を使う
キャッチアップでは、公式ドキュメント、論文、リリースノート、GitHubのコードなどの一次情報を軸にしています。そのうえで、技術ブログや解説記事、動画なども補助的に使用します。
「一次情報で事実を確認する」「別の解説で理解を補う」と役割を分けることで、効率よく学べます。
3. 100%理解する前に、まず小さく動かしてみる
私が特に重視しているのが、できるだけ早く手を動かすことです。
新しいライブラリなら簡単なサンプルを動かす、新しいアルゴリズムなら最小構成で実装する、新しい手法なら小さなモデルで試してみる、といった具合です。実際に動かしてみると、ドキュメントを読んだだけでは分からなかった「設定による挙動の違い」「性能のボトルネック」「想定外の制約」などが見えてきます。
そのため、100%理解してから始めるのではなく、60~70%程度理解した段階でまず試してみることを意識しています。試してみることで分からない部分が明確になり、結果的に理解を早められることが多いと感じています。
4. 学んだことを短く言語化する
試した後は、学んだことを自分の言葉で短くまとめます。
例えば、「何が分かったか」「どこで使えるか」「注意点は何か」「次に何を試すか」の4点だけでも十分です。言語化すると、自分の理解が曖昧な部分に気づけます。また、後から見返したときの再学習の時間も減らせます。
長い資料を作る必要はなく、「結局何が分かったのか」を短く残しておくことを意識しています。
キャッチアップを習慣化するための工夫
技術のキャッチアップは、やり方を知っていても、継続できなければ意味がありません。
そこで私が意識しているのが、「まとまった時間を待たず、小さく続ける」ことです。
私は、「まとまった時間が取れたら勉強する」という考え方をできるだけやめています。まとまった時間ができるのを待っていると、仕事が忙しいときほど「今日は時間がないからまた今度」と後回しにしてしまい、結局何もできないまま終わってしまうことがあるからです。
そのため、平日は気になった技術を少し調べたり、記事や論文を読んで気になったキーワードをメモしたりするなど、学習を小さく分けています。時間のあるときには、その中から一つを選んで深掘りします。
また、すべての技術を同じ深さで学ぶ必要もないと考えています。すぐに業務で使う可能性があるものは深く調べる一方で、興味はあるものの今すぐ必要ではないものは概要だけ把握し、後で調べる候補として残します。
「すべてを理解する」のではなく、「今必要なものを深く、将来必要になりそうなものは浅く広く」と濃淡をつけることで、無理なくキャッチアップを続けられます。
業務や自己学習での生成AI活用法
生成AIは、私の中では「分からないことを聞くためのツール」というより、考える・調べる・実装するといった一連の作業を一緒に進める相手に近い存在です。
業務では、コーディングだけでなく、技術的な提案や論文調査などにも活用しています。
また、自己開発では、作りたいものや実現したいことを伝え、会話を重ねながら実装を進める使い方が中心です。
1. 業務では、コーディングや調査に活用する
コーディングでは、生成AIにコードを書かせるだけでなく、既存コードの理解、実装方針の整理、デバッグ、リファクタリング、テストケースの検討など、さまざまな場面で活用しています。
まず目的や制約を伝え、「この要件ならどのような実装方針が考えられるか」と相談します。その後、実際に実装してもらい、動かした結果やエラーを返しながら修正していきます。
このように、実装と検証を会話しながら繰り返すことで、開発のサイクルを速く回せるようになります。
2. 技術的な提案の壁打ちにも使う
新しい技術を導入するときや、既存の仕組みを改善するときには、生成AIを壁打ち相手として使います。
例えば、「他にどのようなアプローチがあるか」「それぞれのメリット・デメリットは何か」「どのようなリスクが考えられるか」といった観点を出してもらい、自分の考えと比較します。
最終的な判断は自分で行いますが、一人で考えていると見落としやすい選択肢や論点を洗い出すうえで役立っています。
3. 論文調査では、理解を深めるために使う
論文調査でも生成AIを活用しています。
単に論文を要約してもらうのではなく、手法の前提や既存手法との違い、実験設定、結果から読み取れることなどを対話しながら掘り下げます。
また、複数の論文について「何が共通していて、どこが違うのか」と整理する際にも活用しています。
ただし、論文の内容をそのまま信じるのではなく、重要な部分は原文を確認しています。生成AIは、読むべきポイントを見つけたり、自分の理解を補ったりするために使っています。
4. 自己開発では、とにかく会話しながら開発を進める
自己開発では、生成AIに指示を投げて、会話しながら開発を進める使い方が中心です。
作りたいものや仕様を伝える
↓
実装してもらう
↓
実際に動かす
↓
結果やエラーを返す
↓
修正する
という流れを繰り返します。
一度に完成したコードを生成してもらうのではなく、会話しながら少しずつ作り込んでいくことで、試行錯誤の回転を速くできるのが大きなメリットだと感じています。
一方で、技術仕様やライブラリの挙動など重要な部分は、公式ドキュメントや実行結果でも確認します。生成AIに任せきりにするのではなく、最終的な理解と判断は自分で持つことを意識しています。
キャッチアップで大切なのは「量」より「サイクル」
エンジニアのキャッチアップは、情報をたくさん集めれば終わりというものではありません。
私が大切だと考えているのは、「調べる → 小さく試す → 言語化する → 次の学びにつなげる」というサイクルを繰り返すことです。
毎日少しずつでも学びを積み重ね、必要な技術には深く、そうでないものには浅く、といったようにメリハリをつけています。
私自身も、分からないことがなくなることはありません。だからこそ、すべてを知ろうとするのではなく、分からないことを見つけたら調べ、試し、必要であれば人や生成AIにも相談しながら、一つずつ理解を深めています。
これからエンジニアを目指す方や、経験が浅く「何から勉強すればいいか分からない」と感じている方も、まずは気になった技術を一つ選び、少し調べて、実際に動かしてみるところから始めてみてください。
大きなことを一度にやろうとするのではなく、小さな学びを積み重ねていく。
その繰り返しが、長期的な成長につながっていくと考えています。
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